紅茶の飲み方の一つであるミルクティー。
実は紅茶の本場であるイギリスでは、ストレートティーよりも圧倒的にミルクティーで飲む方が多いと聞いたことがあります。
紅茶にはミルクが入っていることが当然で、ミルクの入っていない紅茶をわざわざ「Black Tea」と呼ぶという話も聞いたことがあります。
私自身は圧倒的にストレート派なのでちょっとビックリです。
イギリスに行ったことがなく、イギリス人の友人もいないため、真偽のほどは定かではないのですが…。
もしもイギリスの紅茶文化に詳しい方がいらしたら真実を教えていただけると嬉しいです。
さて、そんなイギリス人のソウルドリンク(?)たるミルクティーですが、ストレートティーとは異なり、長い間とある論争があったそうです。
熱く議論される?ミルクを入れるタイミング
ストレートティーは紅茶をそのまま飲むので、砂糖を入れるかどうかくらいしか悩むポイントはありません。
しかしミルクティーは違う。
「ミルクを入れるのは紅茶の先か後か」という問題に対し、紅茶の国イギリスでは130年以上もの長きにわたり論争が繰り広げられているらしいのです。
ミルクを先にティーカップに入れてから紅茶を入れることを「ミルクインファースト(Milk In First)」、ティーカップに紅茶を入た後でミルクを入れることを「ミルクインアフター(Milk In After)」と呼びます。
それぞれの派閥に拘りがあるようで、どちらが良いのか長年議論されているのだとか。
この問題に決着を付けようとした論文があります。
それが2003年にイギリス王立化学協会が発表した『How to make a perfect cup of tea(完璧な紅茶の作り方)』という論文です。
この論文の中で「ミルクを先にカップに入れ、後から紅茶を注ぐ」としたことで、長きにわたりイギリスを二分していた論争に白黒つけようとしました。
イギリス王立化学協会がミルクを先に入れるとした理由は?
もちろん、ミルクを先にカップに入れるのには理由があります。
イギリス王立化学協会の論文の中では、牛乳は75℃を超えるとタンパク質が変性(分解)を起こしてしまうとありました。
温めると牛乳が固まってしまう(分離してしまう)現象ですね。
熱い紅茶に牛乳を加えると牛乳が凝固してしまう可能性があり、それを避けるためにミルクの中に紅茶を注ぐという結論に至ったそうなのです。
しかも、低温長時間殺菌を施した牛乳を使用するよう指示する徹底ぶりです。
でもちょっと怪しい…イギリス流ジョーク説まである
結論としてミルクを先に注ぐとしたものの、イギリス王立化学協会が発表した論文はちょっと不思議な部分があるようなんです。
その不思議な部分は以下の2点。
1.紅茶を最高においしく飲むための事前準備がどう考えてもおかしい。
「紅茶を美味しく飲むという最高の結果を得るためには、あらかじめ冷たい雨が降る中で少なくとも30分は重い荷物を担ぎ、犬を散歩させる。」
…という文章がある。
2.紅茶のお供が指定されている。
文中で「George Orwell著『Down and Out in Paris and London』 を読みながら飲む。」
…と書かれている。
美味しい紅茶を飲むために予め重労働とも言えるような作業をし、しかもお茶を飲みながら読む書籍まで指定されているだなんて…。
これは…ちょっと変ですよね。
以上の2点以外にも首をかしげるような部分があったらしく、イギリス王立化学協会が発表しておきながらもイギリス紳士流ジョークに富んだ論文?コラム?読み物だったと考えるのが妥当なようです。
残念ながら件の論文?はイギリス王立化学協会のウェブサイトで見つけることはできませんでした。
削除されちゃったのかもしれませんね。
さらにこの論文?が発表されてからBBCをはじめとした各種メディアが反論をしているそうなのです。
中にはミルクを後に入れるべきだとしている反論もあるようで。
どうやらこの問題に決着が付く日はまだまだ来なそうです。
昔のミルクティーはミルクが先だった!
実のところ昔のミルクティーは、ミルクをティーカップに注いでから紅茶を注いでいたそうです。
このミルクインファースト(Milk In First)と呼ばれる淹れ方は茶器に理由がありました。
昔の茶器(陶磁器)は当然ながら今ほど品質の良い物ではありません。
ティーカップに熱いお茶を注ぐと、カップにヒビが入ってしまったり、酷いと割れてしまうこともあったそうです。
カップの破損を防ぐために、先に低温のミルクを注いでから紅茶を注ぐようにしていたのですね。
技術の進歩とともに変わるミルクを入れる順番
しかしながら、ミルクを入れる順番に変化が訪れます。
技術の進歩とともにティーカップの品質が良くなっていき、耐久性・耐熱性が少しずつ増していきました。
もちろん最初から誰でも品質の向上したティーカップを使えるわけではありません。
最初に手にするのは、やはり上流階級の貴族達です。
貴族たちは自分の主催するお茶会の場でティーカップに先に熱い紅茶を注ぐことにしたそうです。
これは「私の使っているティーカップは品質がしっかりしており、熱い紅茶を入れても問題ありません」ということを示すためだったとか。
熱い紅茶を先に注いでも破損しないティーカップはお茶会におけるホストの信頼やステータスとして示されるようになったんですね。
これがミルクインアフター(Milk In After)の始まりと考えて良さそうです。
まぁ…品質の悪いティーカップに熱い紅茶を入れるとカップが破損することが発覚し、対処法としてミルクを先に注ぐことを思いつくまでは先に紅茶を入れていたでしょうから…
ある意味ではミルクを注ぐ順番が紅茶の「後→先→後」と変遷していったと考えられなくもないですが…
それはちょっと論点が変わる、ということで。
結局のところ、ミルクは先?後?
個人的な意見ではありますが、ミルクティーにミルクを入れるタイミングは「どちらでも好きな方で構わない」と思います。
私のように無駄に紅茶に情熱を捧げ、ポット2つとティーカップを使用して少しでも紅茶が渋くならないように努める人間なら、確かにティーカップにミルクを先に入れる事も可能です。
でもティーバッグとマグカップを使うと、ミルクは自然と後入れになります。
ミルクで紅茶を抽出するわけにもいきませんし、マグカップ2つ使うのも面倒だし。
ティーポットを使う場合でも茶葉を入れたままにするのであれば、カップに注いだ後の濃度はミルクで調整することになります。
そうすると、ミルクを先に入れる場合はミルク→紅茶→ミルクで結局調整することになる。
そんな面倒なことはせず、ミルク後入れで一度にやっちゃった方が良いのでは?と思っております。
まぁ、ミルク→紅茶→ミルクの順番で入れれば紅茶の温度は下がるからミルクの変質はしなさそうだけどね。
紅茶に関するマナーの解説で書いた「カップは両手で持たない」のような、ミルクに関する紅茶のマナーを私は聞いたことがありません。
130年以上議論されてきたことからもミルクのタイミングは結局のところは自由だと解釈しています。
イギリス王立化学協会は「先に入れる」と発表しましたが、ジョーク成分がふんだんに含まれていたお遊び論文?でしたので、結局は自分が美味しく飲めたり便利なタイミングでミルクを入れるのが一番だと思いますよ。
ミルクティーといえば、やっぱりアッサム。
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気兼ねなく飲める価格帯でありながら上質な茶葉を使用しているのは紅茶専門店ならでは。
ブレックファーストティーはボディのしっかりしたお茶なのでストレートティーとしても、ミルクティーとしても飲める万能ブレンドです。